リフォーム・リノベーション・新築・不動産の教科書

リフォーム、リノベーション、新築、不動産など住宅業界ならではの「謎」を解説します。不動産兼建築のプロだからわかる「裏側」と「本音」を一般の方になるべく丁寧にわかりやすく説明することで、住宅取得に失敗する方を一人でも救いたいと思っています

持ち家(新築)か賃貸かって悩みは日本人だけ!住居費・ローン高すぎで老後破産ニッポンは直ちに公営住宅作り、中古住宅をもっと評価しよう

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少し前になりますが、サンデー毎日に「老後破産の元凶は住宅にあり!」という記事がありました。老後に生活が苦しいのは家を建ててしまったから、という記事なのですが、これがなかなか興味深い内容になっています。ちょっと私の意見を交えて、これから家を買おうという人、賃貸か持ち家かで悩んでいる人、住居費って高くねって思っている人などに是非読んでいただきたいです。

 

 

65歳以上で生活が苦しい人は58%

 

厚生労働省が2014年に発表しているのですが、65歳以上、つまり「高齢者」という属性の方がで、日々の生活が苦しいと感じるのは58%だそうです。この数字を見ると、多いと感じますか?少ないと感じますか?。

 

私は多いな、と思います。やっぱり若い世代は、仕事とを引退した老後は、悠々自適に暮らせると思っていきていると思うんです。それが現実では全く違うんですね。

 

高齢者はたくさんお金を持っていそうだけど?

 

総務省によると、65歳上の平均貯蓄額は2377万円だそうです(2013年)。でも1000万円未満は36%もいるそうです。また、100万未満という世帯も6%あるそうなんですね。格差が広がっているので、平均してしまうと、その実態がわかりずらくなっているわけです。

 

ちなみに、65歳以上で生活保護を受けた人は、2013年、過去最高の88万人いたそうです。過去最高!ですよ、日本人の老後は年々貧しい生活を強いられている、とも言えるでしょう。

 

なんで老後の生活が厳しいの?

 

と、思いますよね。その大きな理由の一つが、住宅、つまり家なんですね。記事に出てくる、政策研究大学院大の先生によれば、一般的なサラリーマンが住める低価格帯の家賃の賃貸住宅が日本には圧倒的に少ない、と指摘しています。

 

なので、狭〜くて、別にカッコよくもなんともない賃貸住宅に高い家賃を支払わなければならないのが日本。それが嫌な人は、もっと高い戸建てやマンションを買わなければならない。この住居費が他国に比べて割高なのです。

 

イギリスやフランスは家は買わずに借りて暮らすのが普通

 

日本で公営住宅に住む人は世帯数の3%だそうです。圧倒的に数が少なくて、また、所得などの入居のための条件が厳しいので、誰もが応募できない、また、応募できても倍率が高いという状況です。

 

でも、イギリスやフランスは、全住宅の2割が公営の賃貸住宅だそうです。これはつまり、公営住宅に住むのが普通ってことですよ。日々の家賃を抑えることで、老後の資金をきちんと貯めることがしやすいわけです。

 

フランスでは65歳以上で働く人は1%

 

こういう統計データもあるようです。日本で65歳以上で働くのは、3割弱というデータもあるようです。全く違いますね。結局住居費が安く抑えられるための公営住宅などが整っている国は、こういう老後の生活になりますよね。

 

家を買うことのデメリットは

 

日本では家を買うというのがあたりまえです。もちろんお金を払った分快適な住まいが手に入れられることは大きなメリットです。ただ、今、日本国内には800万以上の空き家があります。これらはどうして空き家になっているかというと、戸建ての持ち家の場合、大きな理由は、家を誰かに引き継ごうとした際に、引き継ぎ手がいないということです。つまり、その家を次に使う人がいないということ。

 

 

家は持っているだけで固定資産税や他の家に迷惑をかけないようにするための管理や、リフォームが必要で、完全にほったらかしにすることはできません。今は空き家特別措置法もありますので、ほったらかしにしていると自治体から注意を受けるようになってくるでしょう。たとえ売ったとしても長年住んだ家は二束三文。売れるのはまだいい方で、売れない家が大多数でしょう。

 

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ドイツやフランスの持ち家率は?

 

ドイツは持ち家の世帯は全体の4割、フランスは5割程度だといわれています。こういう国は公営の賃貸が充実しているので、わざわざ高くて、後々夫妻にもなる家を買わなくていいわけなんですね。

 

しかも日本の住宅取得費は、年収の5倍前後ということで、先進国で一番高いそうです。つまり、先進国の中で、日本人は相当無理して家を買っている国民ということです。無計画に家を買うことは怖いですね。

 

なぜ日本人は持ち家思考になったのか?

 

一つの理由は、戦後にたくさんの公営住宅を作らなかったことだと思いますね。家賃の高い賃貸住宅と、ハウスメーカーと言われる会社が持ち家をどんどん作ったからです。そうなると、民間の家賃に住むか、住宅会社に家を建ててもらうか、そんな選択肢しかなかったんですよね。それと、夢のマイホーム、なんていう、ハウスメーカーのイメージ戦略に乗せられてしまったということもあるかと思います。

 

 

持ち家か、賃貸か?は結局どちらもお金がかかる

 

こういう議論はよくありますが、多分海外だと、持ち家か、賃貸か、公営住宅か、みたいな選択肢になると思うんですよね。しかも海外だと中古の家を買うのが当たり前なので、持ち家=中古の家です。新築ばっかり買っているのは先進国で日本だけです。

 

だから私は、新築、中古住宅、賃貸、公営住宅、というような選択肢が当たり前になる社会がいいと思います。お金がある人は家を買ったり、ちょっと素敵な賃貸を借りたりすればいい。お金がない、あるいは貯めたい人は中古住宅、公営、こういう選択肢が本来あるべきなんですよね。

 

老後は老人ホーム、サービス付き高齢者住宅にはいる?

 

戸建てを買った人も、老後に病気になり介護が必要になれば、老人ホームやサービス付き高齢者住宅に入ることになります。そうなるとまた、家が空き家になるんですよね。せっかく高いお金を払ったのにもったいないというか。

 

このめちゃくちゃな状況は誰が引き起こしているのでしょうか?もちろん、無策な政府でもありますし、私たちが家や住まいについて考えない、つまり思考停止状態に陥っているからなのかもしれません。

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