リフォーム・リノベーション・新築・不動産の教科書

リフォーム、リノベーション、新築、不動産など住宅業界ならではの「謎」を解説します。不動産兼建築のプロだからわかる「裏側」と「本音」を一般の方になるべく丁寧にわかりやすく説明することで、住宅取得に失敗する方を一人でも救いたいと思っています

【保存版】実家の空き家をどうしよう?売却処分・活用・解体など全対策をまとめてみた

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空き家になった実家をどうしよう、と悩んでいる方は多いと思います。というのも今日本には過去最高の800万戸をを超える空き家があります。住む見込みのない家を相続しちゃって、税金ばかりがかっているといった悩みを抱える家庭がどんどん増えてきています。この空き家、処分や活用するにはどうすればよいのかまとめてみました。

 

空き家は820万戸もある

 
これは国の総務省ということが出している数なんですが異常な数ですよね。そんなに家が余っているならくれ!と言いたいところですが、実際これだけの家が使われずに、ただ建っているわけですね。
 
 
日本には約6000万戸の家があります。ですから、7〜8件に1件は空き家ということです。確かに自分の街を歩いていても、この家誰もいないだろうな、というものって結構ありますよね。それを全部集めると、820万戸。そして、それぞれの家に、所有者がいるわけです。
 

ただし、5〜6割はアパート・マンション

 
そうなんです。800万戸の空き家のうち、実は半分くらいが賃貸住宅なんですよね。あまり過ぎ。
 
賃貸オーナーはいま涙目ですね。これだけ余っているんだから賃貸の不動産投資はますます厳しいでしょうね。
 

肝心の戸建ては何戸空き家なのか?

 
一戸建ては約60万戸が空き家です。これだけの数の方が、相続したけど使っていない、どうしようと悩まれているのが現状かとおもいます。
 

空き家が多い地域はどこか?

 
家の数に対して、空き家の割合を示した「空き家率」というものも公開されています。これによれば、空き家率のトップは山梨県、ついで愛媛県、高知県になりますね。
 
やはり人口減少が進む地方が上位にランクしています。こういうデータを見ると、人口や世帯が減っている地域に家を持ってしまうことは大変なリスクになるということですね。処分や活用に困りますから。
 

なんで空き家になるの?

 
そもそもなぜ空き家になるのか。最近特に多いのはやはり「相続」。
 
親が亡くなったりして、家を相続したものの、実家には帰らない、だから空き家になるという流れですね。実家に住めばいいじゃん!と思いがちですが、自分たちは自分たちで職場の近くに家を買っちゃったりしてますから、実家に戻る必要がないというケースが多いんですよね。家買い過ぎ!だから余るニッポン。
 

ならばさっさと空き家を売ればいい

 
とも思われると思うんですが、そうはいかないようです。理由としては、愛着があるのでなんとなく売れない、取り壊すのもちょっと気がひける、という精神的な面がひとつ挙げられます。
 

不動産屋も空き家は興味なし?

 
もうひとつの理由は、不動産会社に売って欲しい、あるいは賃貸に出して欲しい、と行動したとしても、すでに30年も40年も住んだ家は、そう簡単に売れるものではない。
 
 
不動産会社の友人曰く、「そんな古い家を売っても手数料はほとんど取れないので、後回しにする」だそうです。まあそうですよね。高い、新築とか売ってた方が稼げますから。
 

高齢になれば介護施設に入る。よって家が空き家に

 
空き家になる要因のもうひとつは、高齢になると健康を害して、介護が必要になりますよね。老人ホームやサービス付き高齢者住宅などに移住してしまう人も出てきます。あるいば病院に入院。そうなると家は必要ありません。
 
 
ここで思うのは、70歳を超えたらさっさと家を売却するなりして、シンプルな賃貸住宅とかに移住しといた方がいいんですよね。早く売却の依頼を出しておけば、売れる確率も高まりますし。そもそも大きな家は必要ない。
 
 
賃貸なら、老人ホームに住み替えてもなんら問題ないですから。もし家を買おうとしている人がいたら、70くらいで売却して、賃貸や売却しやすい家に買い換えておくことが、後世の人に迷惑をかけなくて済みますよ。
 

空き家は持っているだけでも税金がガンガンかかる

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空き家を持っていても、特に何にも自分に被害がなければいいんですけど、「税金」というものがかかるんですよね。土地と建物には固定資産税というものと、都市計画税というものがかかります。
 
 
ちなみに固定資産税が1.4%、都市計画税は0.3%です。お役所が土地の価格を決めている「課税標準額」というものがあるのですが、仮にそれが500万円だとしたら毎年8万円くらいの税金。1000万円だったら16万円くらいですね。
 
 
ただし、土地に家が建ってさえれあれば税金が安くなるという優遇措置があるんです。その優遇とは、固定資産税が6分の1、都市計画税は3分の1。
 
だからですよ、空き家を壊すと、固定資産税は6倍、都市計画税は3倍になるわけです。だから、みんな家を壊さず、空き家にしてほったらかしておいているんですね。税金が上がらないように。
 

マンションだと、管理費と修繕積立金がガンガンかかる

 
今マンションに住まわれている方ならわかりますが、管理費、修繕積立金が毎月かかりますよね。これも空き家の家なら払わなくてもいいんじゃないかとおもいますが、所有者にかかります。きついですね。
 

空き家は放置してはいけない法律ができた

 
最近ニュースで驚いたのは空き家の中に銃弾が置かれていた、という話題です。また、空き家が火事になったというニュースもよく見ます。空き家の中には迷惑をかける空き家も増えてきていて、国はそれを取り締まっていこうと動き始めているわけです。
 
 
そこでできたのが「空き家対策特別措置法」。これは倒れたりして危険をかけそうな空き家を「特定空き家」と認定する法律です。だから今空き家を放置されている方は、いつその家にある自治体から空き家を撤去してください、リフォームして直してくださいという勧告がきてもおかしくないということです。つまり、放置できないんです。
 
 

解体費は空き家の持ち主が支払わなければならない

 
行政が空き家の持ち主に変わって家を壊してしまう行政代執行というものまであります。家を壊してくれてありがたい、なんて思われるかもしれませんが、解体費が請求されるのでご注意ください。
 
 

「それでも私は放置する」はやばい

 
とここまで、いろいろ書いていますが、それでもやっぱり実家の空き家は放置しておこうというのは、賢くないと思います。先ほど紹介したように、火事になって近隣に迷惑をかけたら、訴えられるかもしれません。もし屋根の瓦とか壁が崩れてきて、万が一、誰かを怪我させるようなことになってしまったら絶対に損害賠償請求されます。特に住宅密集地に空き家を持っている人は、そういうリスクがありますので、対策が必要です。
 
でも、対策って何があるのか。まずは「売却」の対策をまとめていきます。
 

売却処分対策1 不動産会社に売買仲介の依頼を出せ

 
売るなら、まずは地元の不動産会社に売りたい旨を相談して、依頼を出そう。これが第一歩。良い立地で、それなりに綺麗なら積極的に売ってくれます。
 
 
でも、ひどい立地で、ボロ家の場合、売ってくれないです。そんな家はほとんど値段が付かないので、売っても、手数料が少ない。稼げない物件を売るほど不動産営業マンは暇じゃありませんよ。
 
 

売却処分対策2 空き家バンクを使え

 
地方自治体では「空き家バンク」というサービスを運営していることが少なからずあります。これは空き家になっちゃって、誰か使ってください、買い取ってくださいという家の持ち主と、田舎に住みたいので家が欲しいです、といった買い主を結びつけるサービスですね。調べてみると結構な自治体があるので、自分の実家のエリア+空き家バンクで検索してみてください。
 

売却処分対策3 不動産の買い取り業者に買い取ってもらえ

 
不動産会社の中には、買い取ってくれるところもあります。なぜかというと、そういう物件を安〜く仕入れて、リフォームして、転売して稼ぐためです。こういうものを最近は買い取り再販とか、リフォーム済み・リノベ済み中古住宅販売とか言うんですが、そういうビジネスをやっているところに家を持っていけば買ってくれます。
 
 
ただ、安く買い叩かれるので、不動産屋で仲介して売却してもらうよりも、得られるお金が少ないというデメリットがあります。もうこの家は負債だからタダでもいいからとにかく引き取ってという人はこういう業者に任せるのがいいでしょう。でも、なんでも買うわけじゃありませんよ。金にならない家を買う不動産屋もいません。不動産屋にそんなボランティア精神はありません。
 
 

売却処分対策4 自治体の補助金を使え

 
自治体がリフォームのための費用を一部出します、といった補助金を出しているケースも少なくないです。あんまりお勧めできませんが、多少なりともリフォームして綺麗にすれば買い手が見つかるかもしれません。直したら不動産屋か買取屋に持ち込みましょう。
 

ちょっと待て、そもそも空き家なんて売れるのか?

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対策はいろいろありますが、結局空き家は売れるのでしょうか。私の答えは「厳しいと思うよ」です。
 
 
よく考えてください。だって家を買う人というのは、やっぱりメインは若者でしょう。賃貸から脱出したい、広い家で子育てしたい、とか。でも、その若者が今、どんどん減っていっているんですよ。少子高齢化っていうやつです。つまり、家を買うよ、という人が全体的として年々目減りするので、年々売れにくくなると考えていいと思います。
 
 
それと、家の状態が悪けりゃ売れない。安くても人が使った汚〜い家、ボロボロで倒れそうな家、には住みませんよ。1981年以前に建てられた家は、「旧耐震」住宅と業界では言われているんですが、こういう耐震性に不安な家を好んで買う人はいません。
 

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しかも売れたとしてもお金はかかる

 
ちなみに不動産仲介手数料というのは売れた価格の3%ほどかかります。何にでもお金はかかるわけです。
 

売却は厳しい、そんな場合は?

 
こうなると、多分空き家の売却は厳しいです。ただ、ほったらかしていると「特定空き家」に指定されたり、リスクが増えたり、結構不安です。だから、半年に1回とか見に行っている人も多いと思いますが、これも面倒臭い。そこでそんな面倒な管理を代わりにやってくれる代行業者が出てきてます。
 

空き家巡回管理サービスはおすすめか?

 
空き家巡回で調べると、いろんな会社がやってるんですね。空き家に何かトラブルがないかとか、草が茂り過ぎてないかとか、窓開けて風を通してもくれるんですね。確かに家は使わないとすぐにダメになりますよ。料金を見てみると大体月5000〜1万円くらいです。年間で6万〜12万円。結構これ高いですね。
 

実家に帰るよりはましか?

 
確かに定期的にチェックしに空き家を見に行く分のお金と時間を考えれば妥当なのかもしれません。もっと安いサービスが出て来ればいいですけどね。でも、そう考えると、早く売っちゃうのが一番ですね(なかなか売れないけど)。
 

「住む」という活用方法はどうか?

 
いっそ住むというのはどうか?今もし家が賃貸で、職場まで通える距離ならば、住んでしまおう。ただ、築年数がもう40年とか50年とかだと、夏暑いし、冬寒いし、虫は出るし、厳しい。地震で倒れる可能性も否定できません。
 

貸すというアイデアはありえるか?

 
不動産会社に行って、賃貸に出して欲しいといえば、一応取り扱ってはくれるでしょう。ただ、売却と同じですが、ボロボロで古い家に住みたい人はいないので厳しいですね。
 
 
ネットで探してみたら移住住み替え支援機構という会社がやっているサービスはよさそうですね。これはこの団体が家を借り上げてくれて(安い金額で)、又貸しするというものですね。こういう団体が他にあるのかわかりませんが、家を借り上げてもらうというのはいいですね。ただ、これも家の状態の良し悪しによるでしょう。ボロボロすぎたら借り上げてくれるとはあまり思えません。
 

もう壊してしまおう!解体費はいくらかかる?

 
売れない、貸せない家が、周りに迷惑をかけている。そんな状況ならもはや壊すしかないでしょう。買いたいですね。ではいくらかかるのか。ネットで相場をみると、一般的な戸建ての木造は人坪4〜5万円ですね。
 
 
日本の家の平均坪数は40坪程度らしいとのことなので、160万円〜200万円かかることになります。これって、家を建てる時に全く考慮に入れていない金額ですよね。住宅会社は解体する場合は160〜200万円かかると、初めに行ったほうがいいですね。空き家が増えますよ。
 
 

ちなみに鉄骨とかコンクリ(RC)はもっとかかる

 
木造よりも鉄骨とかコンクリートの家のほうが解体費がかかるみたいですね。1坪2〜4万円プラスオンという感じです。きついですね。
 

壊したらどうするか?

 
土地だけのほうが売れたりします。そこに新築を建てたいという人が出てきますからね。また、駐車場のような収益が得られる場にしてもいいかもしれません。ただ、田舎で駐車場というのは、どうなのでしょう。
 

気軽に新築の家を買うな

 
ここまで書いてくると、家を気軽に買うのはやめたほうがいいですね。後々の処分まで考えておかないと困ります。あなただけでなく、それを引き継いだ方も。

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