不動産の仕事をしていると、長年住んだ戸建てを売りに来られるお客様に日々出会います。その方たちから聞くのは「戸建て」に対する不満です。夢のマイホームといわれる、新築の一戸建て住宅ですが、どんなデメリットがあるのでしょうか。ご紹介していきます。
後悔1 戸建ては娘や息子など、子供に迷惑をかける
ちょっと意外ですよね。一戸建てを買ってなんで子供に迷惑をかけるのか。でも実際こういう理由で戸建てを売りたいといわれる方が多いんです。それはなぜでしょうか。
その理由は親が買った家に子供が住み続けるわけではないということですね。大抵の家庭では、20代、30代になれば、家を出て、賃貸暮らしをしたり、あるいは持ち家(戸建てやマンション)を購入して、住み始めます。
親が買った家は、親だけで済むことになるのですが、自分たちが亡くなった場合、家は誰も住まない空き家になります。その空き家は誰かに相続しなければなりませんが、大抵の場合は娘や息子さんなどの子供です。
お子さんたちは住まないにも関わらず、空き家を相続にすることになります。これは子供の家族からすればはっきり言って迷惑です。家は持っているだけで、固定資産税などの税金がかかります。
また、空き家は今ほったらかしにしてはいけないルールになっています。空き家対策特別措置法というものがありまして、空き家をほったらかして、草がぼうぼう、管理もされずに放置されて、周りに悪影響が懸念される場合、特定空き家と認定されて、固定資産税が6倍になります。
・参考記事
renovation-reform.hatenablog.com
それならば子世帯は早く売却してしまえばいいと思うかもしれませんが、古く何もリフォームもされていないようなボロボロな家は、そう簡単に買いてがつきません。不動産屋も積極的に売ってくれませんからね。その結果、日本には今800万戸以上の空き家があるわけです。
戸建てを買おうと思っている方は、その家、その立地が後々、売却しやすいかどうかもきちんと考えておいた法が、後々お子さんに迷惑をかけずに済みます。これから介護施設に入る高齢者の方は私にこういいました。「子供たちに迷惑をかけたくないからいくらでもいいから売って欲しい。安心して施設に入れない」。今こういう方が信じられないくらい日本に多くいます。
後悔2 戸建ては建て替えにお金がかかる
木造の戸建てというのは、コンクリート出来ているマンションに比べると、傷みやすいです。ですから、30年も40年も何もリフォームせずに住み続けていると、老朽化します。ボロ屋です。そんな家に住み続けることは、耐震性の面でも心配ですし、非常に不快な気分で毎日を過ごさなければなりません。大抵の人が、建て替えを検討するわけですが、当然建て替えにはお金がかかります。
例えば20〜30代で、土地1500万円、家2000万円を買って、ローンを組み、毎月の支払いが35年間続く。それが終わったと思ったら、家の建て替えでまた2000万円。どうですか?かなり重たい金額ですよね。高齢でローンを組むのは非常に厳しいですから、現金が相当必要かと思います。
今日本は寿命が伸び続け、男女ともに80〜90歳までいきます。80〜90まで住める家を手に入れられなければ、建て替えが必要です。ですから、戸建てを買うときは、見た目だけではなく、長持ちするか、に重点をおくべきです。
スポンサーリンク
後悔3 リフォームや修繕費に金がかかりすぎる
リフォームや修繕費についてはこのブログで様々なデータや分析を紹介していきますが、戸建ての場合、年に15万円ほどはリフォーム費用として最低限必要な金額だと、お伝えしました。月々1万円ちょっとはリフォーム費用として貯めておくことが大事です。
マンションは修繕積立金というものがあり、毎月管理組合に一定のリフォーム費用を積み立てなければならないマンションがほとんどです。でも戸建ては完全に自分自身でリフォーム費用を積み立てなければなりません。実際貯めている人なんてほとんどおらず、家はどんどん劣化していきます。
そして、戸建てに住み始めると、給湯器が壊れた、外壁にクラックが入り雨水が入ってきて雨漏りした、シロアリが発生して柱が虫に食われた、などなど、リフォームが必要な場面が次々に現れます。このときに「お金がないから我慢」すると、家が一気に劣化していき、いずれ建て替えが必要になり、結局もっとお金がかかることになります。
参考記事
renovation-reform.hatenablog.com
理由4 マンションに比べれば地震に弱い
戸建ては新築した当初は耐震性能が高くても、リフォームやメンテナンス、点検などをせずにいると、劣化してきます。そうなれば、耐震性が下がり、巨大地震で倒壊することにもつながります。
マンションは地震で倒壊というケースは戸建てに比べれなレアなケースだと思いますので、戸建てならではのデメリットですね。
保険に入っていればある程度のお金はもらえますが、当然保険料がかかります。保険に入っていないと、倒壊してしまえば、当然自費での建て替えがベースになりますので、膨大なお金がかかることになります。
今は南海トラフ地震、首都直下型地震などが起こるといわれていますから、そういうエリアに戸建てを買うことはある程度覚悟しなければなりません。過去に地震のプロはどういう家に住んでいるかという記事も書きました。
・参考記事
renovation-reform.hatenablog.com
スポンサーリンク
理由5 立地が良くないことがほとんど、不便な郊外になりがち
新築一戸建てというのは、当然ながら土地がないと建てられません。想像してみればわかるかと思いますが、家というのは便利なところから建設が進んできたわけです。ですから、今の時代、本当にいい場所に土地が余っている、なんてことはほとんどありません。大抵は町の中心部から離れた郊外ですよね。
もちろん、郊外を、良い立地という人もいますから、一概に否定できません。でも私は高齢者の方たちとお話しすると、歩いてスーパーに行ける、すぐ近くに病院がある、友達やコミュニティのみんなと会話できる喫茶店がある、介護サービスが近い、といった、生活に欠かせない商店や施設が近いということをよく話されます。
若いときは車で行けばいい、と思うかもしれませんが、その家にずっと長く住むならば、自分にとって必要なお店やサービスが近い場所にあると言うことは非常に重要なことです。
夢のマイホームは新築一戸建てである、は幻想
結婚して、子供が出来て、さて次は夢のマイホームだ!という方は大抵が新築一戸建ての注文住宅、と想像するのかもしれませんが、それは危険です。私は戸建てを買って大変後悔した人に数多くお会いしました。
わたしがオススメするのは、中古の戸建てや中古のマンションも視野に入れてみることです。今はそれらをリフォームやリノベーションして、本当に暮らしやすいように変えてくれる会社も非常に増えてきていますし、そのような家は新築に比べれは支払いが安く、経済的にもお財布に優しいことがおおいです。そして中古は良い立地に立っている物件も豊富に売りに出されています。新築一戸建てにこだわらないこと、それがこれからの時代主流になってくると思いますよ。
スポンサーリンク